腎臓糸球体の没入型インタラクティブ観測システム

鎌田 久美 (9951030)


近年の医用画像工学の発達は,これまで不可能であった体内の微細組織の観察 を可能にした.微細組織の定量的評価が可能になれば,さらに,高度な診断を 実現できる.特に,腎臓の微細構造体である糸球体の個数分布は,罹患時によっ て変動するといわれており,その詳細な観測を可能にする意義は大きい.

本研究では,没入型仮想空間提示装置を用いて,腎臓の微細構造である腎臓糸球体をインタラクティブに観測できるシステムを構築した.

提案システムでは,マーチングキューブ法を用いて3次元X線CTデータをサーフィスレ ンダリングし,没入型仮想空間提示装置に提示する.マーチングキューブ法を用いる ことで,高速に滑らかな表面を持ったデータを提示することを可能とし,没入型仮 想空間提示装置を用いることで微細組織の詳細な観察を可能にした.また,本研究で は,魚眼レンズ付きカメラとLEDを用いた没入型仮想空間提示装置用入力インタフェ ースを構築した.構築インタフェースを用いることで,ユーザは拘束されることなく 自由に,インタラクティブに糸球体の個数分布を観測することができる.

本発表では,構築システムの全貌と,ユーザインタフェースについて述べる.