音声対話における意図や話題移行の表出に関わる言語特徴の分析

小椋敦子 (9951025)


人間は言葉を発することにより他の人間に意志を伝達する。言葉を状況に応じ て適切に用いることによって人間の会話は円滑に進んでいく。

本研究では会話の様々な要素のうち「発話意図」と「話題移行」に着目して、 それぞれその表出に関わる言語特徴は何かを日本語音声対話コーパスの分析に よって調べた。

「発話意図」の表出に関わる言語特徴の分析では、課題遂行対話を分析対象と した。課題遂行対話を収録した日本語音声対話コーパスにはさまざまな言語情 報を示すタグが付与されている。韻律・統語・文脈素性をコーパスから抽出し、 どの言語素性が発話意図の表出において貢献度が高いかを決定木学習によって 調べた。特定の素性を追加・削除することによって作成された決定木の正解率の 増減から、素性の貢献度を測るleave-in/out法を用いた。その結果を統計的に 検定した。

「話題移行」の表出に関わる言語特徴の分析では、電話での自由会話コーパス を分析対象とした。 課題遂行対話では、話題の移行が与えられた課題の内容によって概ね決まって しまう。それに対して自由会話では何ら話題の内容を制限する外的要因がない ため会話が進むにつれて自然と話題が移り変わっていく。

このような外的要因による制限のない 話題移行個所を決定するため、不特定多数の被験者に話題が変わっていると感 じる個所で対話を区切ってもらう実験を行った。被験者間の話題境界の一致率 を算出し、一致率の高かった個所を話題境界とした。 さらに、コーパス中に付与された言語情報のタグから、話題境界の前後の発話 単位の言語素性を抽出し、leave-in/out法でどの言語特徴が話題境界の特定に 貢献するかを調べた。