キーフレーム入力によるモーションデータの検索
岡本 隆資 (9951024)
近年の急速なコンピュータの性能の向上や,廉価で高性能なCGソフトの普及により,映画やCGなどさまざまな分野で人間のモーションデータをコンピュータで取り扱う機会が増えている.
しかし,モーションデータを一から作り始めることは非常に手間がかかる.たとえば,モーションデータを作る一般的な方法である,キーフレーム法では,多関節オブジェクトの自然なアニメーションを作るためには,関節同士の作用,地面からの制約等を考慮に入れる必要があり,線形補間や非線形補間ではキーフレームをたくさん入力しなくてはならない.また,自然なモーションを簡単に取得できるモーションキャプチャも大規模な設備が必要で高価でもある.(さらに取得したモーションデータをそのまま使えることはまれで,後に編集が必要になる)
そこでモーションデータをデータベース化し,その中から類似したモーションデータを取り出して加工すれば,製作に必要な手間が削減されると考えられる.モーションデータの加工には,モーションブレンディング、モーションエディット,モーションデータの他オブジェクトへの適用などが研究されており,かつては使い捨てだったモーションデータは再利用が可能になってきた.モーションデータを加工して再利用するためには,モーションデータをデータベース化しその中からユーザの望むモーションを探し出す必要がある.
大量なモーションデータベースから必要なものを探しだす方法としてキーワード検索が考えられるが,ユーザの欲しているモーションを言葉で表すことが困難な場合があり,キーワード以外のモーションデータの表現に適した検索キーが求められる.
そこで本研究では検索キーにキーフレームを利用することを提案する.
キーフレームとは"動きの節目にあたる,重要なフレーム"を意味し,本来はアニメーション製作において,デザイナーが入力したキーフレームを中割してアニメーションを作るといった使われ方が一般的である.本研究ではモーションデータをキーフレームで柔軟に表現できることに注目する.
ユーザは自分の欲しているモーションのキーフレームを入力すると,モーションデータベースから,ユーザの入力したキーフレームを含むモーションデータを類似度の高い順に提示される.適当なキーワードをつけることが困難なモーションデータであっても,ユーザの欲しているモーションデータのキーフレームを記述することにより柔軟な検索が可能になる.