DHR: WWW キャッシュクラスタにおける故障を考慮したハッシュルーティング機構

大須賀 圭人 (9951019)


本研究は、分散WWWキャッシュシステムの協調動作の一手法であるHR(Hash Routing)方 式のアルゴリズムに変更を加えることにより、耐故障性の高い DHR(Duplication Hash Routing)方式を提案する。従来のHR方式は、特定のハッシュ関 数を用いて、様々なWWWオブジェクトに対するキャッシュサーバを一意に決定する方法で ある。そのためキャッシュの使用効率は良好だが、プロキシサーバの故障に弱く、外界 との通信ができなくなってしまう。この欠点を改善するために、DHR方式ではハッシュ関 数を2つ持たせ、わずかなオブジェクトの重複を許容して、故障時でも外界との通信を実 現しつつキャッシュ機能を提供する。
本研究ではオブジェクトを他のプロキシにコピーすることにより故障を回避する DHRv1 方式、そしてさらにその改良としてコピーをせずにその機能を実現する DHRv2 方式を提案する。
本論文ではDHR 方式と、DHR方式を用いたキャッシュクラスタの設計を述べ、シミュ レーションと実装システムのベンチマークによってその有効性を示す。