デバッグにおけるプログラム読解戦略の分析モデルの提案とその適用実験

内田 眞司 (9951017)


プログラムのデバッグの効率は,プログラム中のどの部分を どの順序で読むかについての戦略(プログラム読解戦略) に大きく依存すると考えられる.
本論文では,プログラム読解戦略を分析するためのモデルを提案し, その適用実験を行った.
提案モデルは,次の三つの視点(View)から構成される:
(1)デバッグ対象プログラムのモジュール構造と特性を表現するProductView,
(2)各モジュールに対する作業者の内面的な判断を表現するDecision View,
(3)各モジュールに対する作業者の外面的な行動を表現するBehavior View.
これら三つのViewに基づいて実際のデバッグ作業を表現することで, プログラム読解戦略とデバッグ効率に関する様々な仮説を定量的に検証できる.

実験の結果,「故障個所を基準とした静的スライスの外を読む時間が長いほど,デバッグ時間が長くなる」, 「バグ存在モジュールを読む時間の割合が大きいほど,デバッグ時間は短くなる」 などの仮説の真偽を,定量的に検証できることが分かった.