「受付システム」を対象にした擬人化エージェント対話方式の検討
井上雅宣 (9951013)
著者の研究グループでは,人間に代わってオフィスなどで来訪者の応対を行う擬人化
エージェント受付システムの開発を行っている.本研究では,人間にとって出来るだ
け直観的な感覚でコンピュータと人間の対話が成立することを目指しており,その一
環として,予備実験によって擬人化エージェントとユーザの対話を観察し,それに基
づいた問題点抽出と改善案の提案を試みた.予備実験の結果,エージェントを構成す
る個々の技術的問題(音声認識精度など)の他に,ユーザとエージェント間のインタラ
クションの問題が存在することを確認した.また,同じ場面でも操作に失敗するユー
ザとそうでないユーザが存在することを確認した.考察の結果,ユーザの行動をシス
テムが受容できる方向に誘導すること,およびユーザによって異なった誘導方法を提
供することで問題の解決をはかった.具体的には,まず複数のユーザモデルを設定し
た.次に,各ユーザモデル毎にユーザの行動を制限する強さ(誘導の強さ)の異なる誘
導方法を提供するため,(1)文字による誘導,(2)記入形式による誘導,(3)吹き出しに
よる誘導の3案を提案した.そして,40名のユーザ実験を通して,提案した各手法が問
題解決に対して有効であることを検証した.