顔と視線情報による電動車椅子の走行支援システム
伊野 智行 (9951010)
現在,電動車椅子は,身体の不自由な人々の重要な移動手段となっており,これ
からの高齢化社会において,その需要はますます高まるものと考えられる.
こうした中,より安全で快適な「インテリジェント車椅子」の実用化が望まれて
いる.
通常,電動車椅子の操縦は,行きたい方向にジョイスティック倒すことで実現さ
れているが,思い通りに車椅子を操縦するには,細かな動きと技術が必要とされ
ている.
したがって,搭乗者には周囲の環境に対応するための素早い操作や注意といった
負荷がかかってくる.
よって,「インテリジェント車椅子」の実用化には,操縦の負荷を軽減し,安全
を確保できるシステムの構築が必要と考えられる.
そこで本発表では,搭乗者の意図や注意がよく表れる顔や視線の動きに着目し,
顔と視線の向きを入力インタフェースとした走行支援システムを提案するととも
に,その制御方法について述べる.
また,操縦の負荷の軽減のために,車椅子に自律的な走行機能を持たせ環境認識
による走行支援システムも併せて提案する.
この走行支援の基本戦略は,顔の向きに従う,障害物回避,壁追従の3つから成っ
ておりその有効性を確かめるため行った実環境での実験結果について発表する.