Ad Hocネットワークにおいては,そのネットワーク構成自体が 動的なものであるため,ネットワーク内でパケットを送るホスト を指定する際に,従来の静的構成のネットワークに使用されるホスト名を 用いたホストの特定が難しい. また,Ad Hocネットワークにおける通信は,全ホストへのブロードキャストを 基本として行われる.その結果,各種リソースの浪費も問題となる.
そこで本論文では,Ad Hocネットワーク内で,各モバイルホストの相対位置情報を利用することで, 通信するホストを指定できるOMUSUBIシステムを提案するとともに, そのために必要となる技術について考察する.
本システムを用いることで相対位置指定によりパケット伝達範囲を制限でき, ブロードキャストパケットを抑えることができる. さらに適用アプリケーション例としてITSの車車間通信への適用をあげる. また数値シミュレーションによりその性能評価を行い, さらにアプリケーションにおいて本システムを使用する際に必要となるC++クラスの 設計・実装を行う.
その結果、全体の 送信パケットの総数は,1/10〜1/100程にまで減少し,提案システムが ネットワークの送信パケット数を減少させる際にかなり有効であることがわかった.