高解像度全方位画像センサを用いた遠隔監視システムのためのイベント検出

市川 徹 (9951007)


遠隔地の監視を目的とした遠隔監視システムの開発は従来より盛んに行な われてきた. 監視システムへの主な要求は監視者の負担軽減やセキュリティ確 保であり, そのために広範囲な情景を詳細に獲得する必要がある. さらに, 近 年では, 環境内を撮像, 記録するだけでなく, その中で起こるイベントの検出 や行動の解析といった高度な機能も要求されるようになっている.

本発表では高解像度で撮像可能な全方位画像センサを使用した, 監視環境内に おけるイベント検出を行なう手法について述べる. 提案手法では, 処理毎に解像度を変 更して対象物の検出・追跡を高速で行ない, 対象物の時系列変化のみに基づく動き解析により, 特殊な背景知識や環境内のマップ情報などを必要としない汎用的なイベント検 出を行なう. 特徴としては常に広範囲の情景を高解像度で監視することが可能 であり, 環境内の多地点で起こる複数のイベントを同時に検出・提示できるこ とである.

提案したイベント検出手法による実験では, 監視環境内に存在する2人の人物を 1/9sの更新間隔で, 監視・追跡すると同時に各人物の動きを解析し, 発生するイ ベントの検出, 提示をすることができた. この結果より, 本手法は監視ビデオの 要約や編集への適用が可能であり, 監視システムの応用のための有効な手段であ ると考えられる.