大阪方言自然発話音声への ToBI の検討 \\ 〜大阪方言のモデル化に向けて〜

池田 陽平 (9951005)


本発表は, 大阪方言発話音声の韻律, いわゆる関西イントネーションを記述する 手法として ToBI (Tones\ and\ Break\ Indices) を用いることについての 検証である.
人間の発話は, 言語情報, パラ言語情報, 非言語情報の 3 つの情報から成り立っており, 発話の個人差の大部分は, パラ・非言語情報の 2 つから影響されると考えられる. このような発話の個人差は, 韻律の高低, 強弱, 長短, 緩急, またはそれらの総合の音声現象によって生起する. なかでも, 韻律の高低にあたる基本周波数の変化は, 態度・意図を含む発話, 方言などに重要な役割を果たしている. 感情, 態度などのパラ・非言語情報による基本周波数変化は, %一般的に社会的習慣性が弱い,つまり 個人に依存する割合が大きいため, 解析が困難である. 一方, 方言が影響する基本周波数変化は, 地方毎に ある程度規則が定まっていると考えられている. そこで, 大阪方言が持つ基本周波数の動きをToBIを使って表す手法を提案した.
また, 提案した手法でラベルした大阪方言自然発話データから, 統計的に 音声基本周波数を予測・音声合成し, 主観評価実験を行ったところ, 他方言話者は十分な識別ができなかったが, 大阪方言話者では5段階中, 3以上の 判別結果を得た. この判別結果を改善するためには, 強調・感情などの新しい層を 追加する必要がある.