スポーツ映像放送のための協調型アクティブビデオカメラシステム

井口泰典 (9951004)


放送のデジタル化は,多チャンネル化やマルチキャスト放送など, これまでにない放送事業を可能にしていく. 今後は一層,コンテンツの質が重要視される. さらに,コンテンツが増加していくため, 放送事業の中で最も人力を必要とする制作部門の効率化が必要になっていく. 現在まで機材の小型化や低価格化などによる制作効率の向上が図られてきたが, カメラワークに情報科学の技術を取り入れることにより, なお一層の効率化が可能になる. 本発表では, 重要な放送コンテンツであるスポーツ中継番組制作を 省力化によって効率化するために, 撮影とスイッチングを自動化するシステムを報告する. 本システムでは, アメリカンフットボールを対象とし, 放送カメラマンのカメラワーク分析の結果と アメリカンフットボールの試合展開の特徴に基づいて カメラとスイッチャの制御を行った. アメリカンフットボールの試合展開の特徴である, 急激な選手の動きの変化に対応するために, 複数のアクティブカメラによる協調撮影を行い, 状況解析の結果から撮影に成功しているカメラへの 自動スイッチングを実現した. アクティブカメラの注視点の決定と状況解析は, フィールドを広角で撮影する固定カメラの映像を リアルタイムで処理することにより行った. 処理は背景差分,ラベリングにより求めた重心とヒストグラムの解析 で構成されている. 実際に球技場において自動撮影実験を行い, 本システムの有効性を確認したことを発表する.