コンピュータを用いた解析を行うためには、 解析する規模に応じたコンピュータの処理能力が必要である。 近年のコンピュータを取り巻く環境の著しい変化により、 インターネットを用いて1つの仮想的な並列コンピュータを構成し、 その上で解析を行う「グローバルコンピューティング」が注目されている。
グローバルコンピューティングを実現するためには、 様々な観点から検討せねばならないが、 本研究では実行環境の統一化の観点からJava実行環境を用いることで、 それを実現することを目指している。 ところが、Java実行環境はプログラムの実行速度が遅いという問題がある。
本研究では、Java実行環境の高速化実現手法のひとつである Just-in-Time Compiler(JIT Compiler)に焦点をあて、 JIT Compilerによって得られるネイティブコードをDLLファイルという形で出力し、 それを次回の実行において再利用する仕組みを提案し、そのプロトタイプを実装した。 その結果、DLLファイルを再利用することにより、 ネイティブコード変換のコストを低減することができ、 グローバルコンピューティングに適したJava実行環境の構築が可能なことを示した。