転がり接触による冗長性を考慮した双腕ロボットによる把持物体の操り

横山哲也 (0051117)


複数台の多関節ロボットによる把持物体操り制御は,ロボット工学の重要なキーテクノロジーの一つとして今後の進展が大いに期待できる.特に多指,多腕ロボットによる操りは汎用性を高め,用途の拡大をもたらす効果がある. しかし,現在多くのロボットで用いられているグリップ型ハンドでは動作機能が限定され,汎用性に乏しい.グリップ型ハンドに代わり,人の指先のように互いに力を掛け合い物体を把持する形態は巧みな操りが可能であることが知られている. だが,このような形態ではロボットの手先と把持物体の接触点に転がりを生じる. 転がりにより接触点が変動するために,転がりを考慮していない制御ではロボットと物体の関係が一意に決まらず,把持物体操りに影響を及ぼす.

本研究では平面内を動く,人の指先を模倣した双腕ロボットによる物体把持の操りを考える.物体操り時に発生する転がりを,仮想関節,仮想リンクを用いてモデル化する.これにより,近似的に転がり量が仮想関節の変位と比例の関係になる.物体を把持したロボットをパラレルリンク機構とみなすことにより,制御対象の空間を制把持物体の重心に,従来は冗長である転がり物理量を空間内に持つことできる.そのモデルを用いて制御系を設計することにより,転がりを考慮した制御が出来ると考える. 接触点位置検出については把持物体の動きに制限を設け,簡単なアタッチメントで検出可能とする.これにより転がりを考慮した操りを実機で実現する.