入出力線形化不可能な非線形MIMO系の追従制御

大西 規雄 (9851016)


非線形システムの制御においては,まず非線形システムを線形化し,線形化されたシステムに対して線形制御理論を用いて制御系を設計することが一般的に行われる.入出力線形化は非線形の座標変換および非線形フィードバックを用いることによって非線形システムの入出力関係を厳密に線形化する方法であり,システムを近似することなく非線形のまま扱うことができる利点がある.しかし,入出力線形化を行うにはシステムが任意の動作点において相対次数を持つことが必要である.

本研究では,平衡点において相対次数が定義できないために,入出力線形化が不可能な非線形MIMO (多入力多出力) システムの追従制御法として,特異摂動法に基づく追従制御法を提案する.提案する手法においては,対象システムを時間軸変換および座標変換を用いて特異摂動系に変換する.この特異摂動系に対して,システムの状態を有界に保ったまま追従誤差を漸近的に零に収束させる制御則を設計する.提案する手法を平衡点において相対次数が定義できない Ball and Plate System に適用し,シミュレーションによって本手法の有効性を検証する.