双腕ロボットアームの適応追従制御 --物体重心が中心にない場合--
片岡 弘之 (9951028)
2台のロボットアームによる協調制御で物体を把持して移動させる場合、ロボットアームから物体にかかる力には、物体の運動に直接寄与する「外力」と、物体を把持するために必要な「内力」の2つがある。
従来の協調制御系では、内力を左右のロボットアームに均等に分配していたが、この方法では物体重心が中心にないとき、物体を落してしまうことがある。
この問題点を解決するため、本研究では左右のロボットアームへの内力の分配係数を設計パラメータとして導入する。
この設計パラメータを任意に選定することによって、物体重心が中心にないときでも協調制御によって物体を落すことなく、移動させることができる。
さらに、本研究では物体の重心位置が不明であると仮定しているため、制御系は不確定性を有する。
その不確定性のもとで、物体を目標軌道に沿わせて移動させる制御として、入出力厳密線形化をベースにした適応制御則を用いる。
この制御則を用いることにより、物体の質量が未知、かつ物体重心が中心にないときでも物体の位置と内力を目標軌道に追従させることができることを示す。
さらに数値シミュレーションにより、有効性を示す。