カラードプラ像を用いた流れの3次元可視化法

井村 誠孝 (9951014)


ドプラ効果を利用してリアルタイムに流速を 測定できる超音波カラードプラ法は、血流の観測に最適であり、 心臓をはじめとする循環器系の疾患の診断に大きく貢献している。 しかし、現状の超音波診断装置からの出力は2次元画像であり、 例えば弁周囲の乱流といった3次元的な流れの構造を 捉えることが難しい。

本研究では、この問題を解決するために、 カラードプラ法により得られる流速場に基づく 血流の3次元可視化手法を提案する。 3次元可視化が診断および研究での使用に耐え得るためには、

  1. 客観的であること
  2. インタラクティブであること
  3. 複数の手法で観察できること
の3つの条件を満たさねばならない。 本研究で提案する可視化システムでは、 実時間で計算から描画までが完了する複数の可視化手法と、 直感的に使用できるユーザインタフェースを備えることで、 上記の要求に答えている。

また本研究では、提案システムが流れの3次元的な 状態の認識に有効か否かを確認する実験を行った。 その結果、心臓弁周囲の血流動態把握に必須である、 乱流の発生や逆流領域を認識することが容易に行えた。 さらに、本システムによって、3次元の膨大な流速データ中から 観察者にとって興味がある部位を 直感的な操作で取り出せることが示された。

発表では、提案システムの概要と可視化結果、および 提案システムの有効性を示す実験の結果について述べる。