2次元平面と3次元空間の組み合わせによるモデリング環境

吉森 勇人 (9851132)


3次元形状のモデリングに用いられている3次元CGソフトウェアは2次 元画面上で作業を行うのが一般的であるが、近年、人工現実感の分野では3 次元空間でのモデリング作業を前提とした没入型モデラの開発が盛んに行わ れている。これら2つのモデリング環境はその作業空間の次元数に起因する 利点と欠点をそれぞれに持っている。 本発表では2次元平面と3次元空間でのモデリングを単一の作業空間で行うこ とが可能で、双方の利点を兼ね備えたモデリング環境を提案する。

提案環境を試作したシステムでは, 表示装置として傾斜型ディスプレイを用 いて提案環境を単一の作業空間として実現する。 2次元平面でのモデリングには傾斜型ディスプレイ表面でのライトペンからの 入力を、3次元空間でのモデリングには液晶シャッタ眼鏡による時分割両眼 立体視と3次元位置・姿勢センサからの入力を用いる。ユーザはこの2種類の 入力装置を組み合わせたデバイスを使いモデリングを行う。 % モデリング操作は各操作の持つ性質に応じてそれぞれの空間で行うことが できる。例えば、ブーリアン演算のような空間的な位置関係の把握、高い自 由度の入力が必要とされる操作は3次元空間で行い、平面の生成のような2自 由度しか必要としない操作は2次元平面で行う。また、掃引のような双 方の性質を併せ持つ操作は両空間を同時に利用しながら行う。

このように提案環境は3次元空間での利点である操作の直観性、2次元平面での利点である制御する 自由度の少なさのもたらす操作の容易さという両者の利点を併せ持つ。また、 立体形状の表示に関しても全体の視認が容易な立体視と、既に多くのユーザが習得 している平面図による表現を同時に利用することができる。

本発表では実際に試作した提案環境について詳しく述べた後、その有効性を モデリング過程とモデリング結果を通して検証する。