実験では低次元カオスであるレスラーシステムおよびローレンツシステムの解軌道 からの元のカオス力学系のダイナミクスを学習させる。 学習法としては離散化マップ学習法と ベクトル場学習法を用いる。実験結果から、これらの手法を用いて力学系を再構成 できることが分かった。力学系を再構成することによりカオス力学系の 将来の挙動の予測、すなわち時系列予測が精度良くできる。ノイズを付加 したデータを学習させることによって、学習時におけるノイズの影響を調べた 結果、本手法はノイズに対して非常にロバストであった。
また、力学変数の一部のみが観測される状況を想定し、遅れ座標埋め 込みを用いた学習を行う。さらに、この手法を発展させたIIR(infinite impulse response)フィルタを用いた埋め込み法を提案する。実験により、新しい埋め込み 手法は従来のものと比べてさらにノイズに頑強であることを確認した。