視線分析装置を用いたプラントオペレータの挙動の解析

山本 純平 (9851122)


本研究では、視線情報を用いてプラントオペレータの挙動を解析することを試 みた。

 プラント運転は人間の高度な知識や認識および判断が必要とされる複雑な作業である。このため運転装置のユーザビリティを評価したり、プラントオペレータの教育や支援を効果的なものにするためには、異常対応など何らかの作業中のオペレータの挙動を詳しく解析する必要がある。その代表的なものとして、オペレータの挙動のビデオ記録や発話の記録を解析するプロトコル分析と呼ばれる方法があるが、この分析法では、分析者の主観的な判断が分析内容に与える影響が多い。そこで客観的な指標として、監視操作における主要な情報源である視線移動のデータを用いてオペレータの挙動の解析を行った。

 はじめに、オペレータの視線移動の大量なデータから注視点を抽出した。次に注視点をクラスター分析することで、オペレータの注目領域を分割した。得られた注視点と注目領域の時間的な変移を発話やビデオ記録と併用して考察することによって、プロトコル分析だけでは分かりづらいオペレータの思考を推定することが可能になり、より詳細にプラント運転を解析できることが分かった。また、運転の習熟によって、オペレータの注目する箇所がどのように変化するかを解析できた。