山下 敏行(9851119)


近年,仮想現実感や複合現実感の研究において実環境の構造を仮想空間へ取り込 む要求が高まっている. 一般のカメラを用いて実環境から3次元モデルを作成す る場合,従来手法としては複数のカメラを使ったステレオ視による方法がある. しかし,この方法には以下のような問題点がある.まず,撮影時のカメラの位置の 計測が必要である.次に,一度に広い領域を3次元モデル化するには多くの画像を 必要とする. 本論文では屋内環境全体のような広い範囲を仮想環境に取り込むことを目的とす る. そのため,全方位画像センサを用いたステレオ測量の手法を提案する. また,得られた距離情報から3次元モデルを作成する. 提案手法は次のような手順で行なう. まず,複数の全方位画像センサを水平に置き,撮影する. 得られた入力画像から,エッジ情報を取り出し,記録する. さらに二つのカメラの焦点を結ぶ線を軸とする円柱面へ入力画像とエッジを投影 する.円柱面に投影されたエッジの上でテンプレートマッチングにより 視差を求める.求めた視差から距離情報を導出する. さらに求めた距離情報から撮影した環境を3次元モデルとして表示する.