全方位動画像を用いた両眼ステレオ画像の実時間生成システム

山口 晃一郎 (9851118)


遠隔地の情景を画像として提示するテレプレゼンス技術では臨場感豊かに情景を 提示することが重要である.その条件として見回しと立体視が可能であることが 挙げられる.方向を制御できる可動ステレオカメラを用いることにより遠隔地の 情景を広い視野で立体視することは可能であるが,利用者が視線方向を指示して からカメラを回転させるため見回しに関して時間遅延が生じる. 本研究では,移動経路と速度が既知である全方位画像センサを用いて撮影した 全方位動画像から,任意方向の擬似的な両眼ステレオ画像を光線の情報を用いる ことにより実時間で生成する手法を発表する. この手法により見回し時の時間遅延なしに,利用者の視線方向の両眼ステレオ画 像を提示することが可能となる.

提案手法の有効性を検討するために,提案手法を用いてテレプレゼンスシステム を構築した. システムは一定時間の最新の全方位動画像を計算機に蓄積し,蓄積された全方位 動画像から利用者の視線方向に応じた両眼ステレオ画像を生成し,提示する. その結果,両眼ステレオ画像は実時間で生成され,利用者は遠隔地の情景を任意 の視線方向で立体視することが可能であることを確認した.