ステレオカメラを用いた任意視点画像のリアルタイム生成

塚本 拓(9851070)


複数視点の画像から3次元形状を再構成する研究は,古くからコンピュータビ ジョンの研究において盛んに行われてきた.近年の急激な計算機の計算能力お よび記憶容量の向上により,3次元形状の再構成をオンライン処理で実現する ことも可能になりつつある.例えば,近年の汎用CPUが持つマルチメディア命 令を用いたり,専用の画像処理ハードウェアを開発することにより,極めて計 算量の多いステレオマッチングをリアルタイムで行い,デプスマップ得ようと する研究がある.

3次元形状の再構成のアプリケーションの1つとして,任意視点からの仮想的 な画像の生成がある.従来の任意視点画像生成の研究はオフライン処理による ものがほとんどであったが,この処理のオンライン化はVRの分野における重 要な技術になると考えられる.しかし,オンラインの3次元形状復元の研究は, 復元の精度を上げることに主眼を置いており,デプスマップを得る以上の処理 を実現しているものはほとんどないのが現状である.

本論文ではこのような現状を踏まえて,たとえ限定品質であってもリアルタイ ムに任意視点画像が生成可能なシステムを構築することを目的とする.本シス テムではステレオマッチングには市販の汎用並列画像処理プロセッサを用いる. まずはじめに,1組のステレオカメラによって得られたデプスマップを用いて, リアルタイムで任意視点画像生成する手法について述べ,次に,複数組のステ レオカメラを用いた任意視点画像生成への拡張について述べる