従来行われてきた遠隔医療研究では, その多くが医用画像の伝送のみを行うシステムであり, 医療機器の操作など,医療技術の補助を行う情報を伝送することは出来なかった。 そのため,検査形態自体はこれまでと本質的に同等であるため, 医療サービスの質を大幅に変化させるものではなかった.
本研究は, 遠隔地には専門医, 患者側には超音波診断装置と経験の少ない医師や技師がいる環境を想定し, 共有Augmented Reality(AR)空間を導入することで, プローブ操作の遠隔教示を可能とするシステムを構築する.
提案システムでは, 専門医側には,液晶ペンタブレットと姿勢センサを用いて仮想的に患者の体 にプローブを当てる感覚を与え,Web-Markを導入することで教示情報を視覚 的に提示できる環境を構築した. また,患者側には教示情報をプロジェクタ で患者の体表面上に直接提示することで, 専門医からの教示を直接的に受けることができる環境を構築した.
本発表では,提案システムの構成,およびこれを用いて実際に行った 遠隔医療実験の結果について報告する.