Receding-Horizon制御を用いた倒立振子の最適制御問題
澤田圭介 (9851048)
本論文では,倒立振子を一つの最適な制御則により振り上げるという問題を扱う.
通常は倒立振子を振り上げにより安定化させる手法として,幾つかの制御則を切
り替え適用する手法が一般的である.
そこで,制御則を切り替えずに一つの制御則での振り上げを実現するために,非
線形最適フィードバック系を構成する.
無限時間先までを最適とする一般的な最適制御系を構成するには,
Hamilton-Jacobi偏微分方程式の数値解を有限差分近似法による近似を用いて求め
る必要がある.
しかしこの手法では繰り返し計算が必要なので,計算に多くの時間が必要となり,
実時間での最適フィードバック制御は困難である.
本研究では,Receding-Horizon制御問題を,Ohtsukaらが提案する実時間最適化手
法により実時間で解き,倒立振子の振り上げ制御に適用する.
最適解を連続変形法により求める.
Receding-Horizon制御問題は,有限時間先までを評価して最適とする最適フィー
ドバック則を構成する問題であることから,系の漸近安定性は保証されない.
しかし,収束計算の必要がなく有限回の計算で最適解が得られ,一つの最適なフィー
ドバック則での振り上げが可能となる.
提案手法を用いた数値シミュレーションを行ない,本制御手法の有効性を確認す
る.