没入型仮想空間における揺れ再現手法

佐藤 耕一 (9851047)


仮想現実感(VR:Virtual Reality)や拡張現実感(AR:Augmented Reality), これらを包括する複合現実感(MR:Mixed Reality)といったコンピュータ内に 電子的な世界を構築する技術がある. このような技術を用いて仮想的な体験をすることの中で 重要なものの一つに没入感が挙げられる. 本研究では,没入型仮想空間で没入感を高める手段として, 実写映像などの視覚情報に加えて, 現実世界で体感できる動きを再現することを目指す.

本研究での没入型仮想空間への提示対象として吊橋を取り上げる. その動き情報としては,歩行や風による吊橋の揺れである. 全方位の視野情報が一度に得られる 全方位視覚センサによって吊橋を渡りながら映像取得し, その映像からオプティカルフローを算出することで揺れの検出を行う. 検出された揺れをモーションベース(電動揺動装置)へ出力し, また,映像はユーザの正面・両側面・床面を覆う巨大スクリーンへ出力する. これらを同期させることによって, あたかも吊り橋を渡っているような仮想体験ができることが確認できた.

本発表では,まず背景・目的を述べ, 体験環境である没入型仮想空間のシステムと提示対象を述べる. その後,具体的な揺れの検出手法を述べ, 検出された揺れと映像を提示したものを実際にユーザに仮想体験して もらい,その心理評価ついて述べる.