ステレオ視覚と射影変換を用いた移動ロボットの障害物検出および回避

小山 剛弘 (9851042)


障害物回避は,移動ロボットにおいて最も重要な機能の一つである.障害物回 避をさせるためには,まず障害物を高速に検出する必要がある.これまでにも, カメラ画像を用いて障害物を検出する方法について様々な研究がなされてきた. そのひとつとして,床方向にカメラを向け,カメラ画像のエッジを抽出するこ とによりエッジを障害物とみなすものがある.このような床のテクスチャーを 全て障害物とみなす方法は,高速に画像処理ができるかわりに,床にエッジが ないという仮定を必要とし,床の色に違う所があればそれがテクスチャーとな り障害物と誤認識してしまうという問題がある.

本論文では,ステレオカメラにより移動ロボットの障害物検出をおこなう方法 を提案するとともにマップを作成しそれをもとに障害物回避させる方法につい て述べる.障害物回避には,ステレオカメラと,床面とステレオ画像面の関係 をあらわす射影変換を用いる.この手法では,床面は平面であるという仮定の みを用いており,ステレオカメラの片方のカメラにより撮影された床面は,射 影変換を用いてもう片方の画像に変換される.ここで,床面でない所ではその 変換画像が一致しないことから,これを障害物として処理することにより,床 のテクスチャーに係わらず正しく障害物を検出することが可能となる.この処 理は一般のステレオ視によるデプスマップ生成よりも計算量が少なく,実時間 処理に敵している.そこで,この検出法をロボットにインプリメントし,得ら れる障害物情報を使い,実環境において障害物回避実験を行うことで,その有 効性を確認した.