受講者の聴講状態把握を支援する遠隔講義システムの提案

児玉 俊輔 (9851038)


受講者の反応は対面の講義では常に講義者に利用されるもので,遠隔受講者の聴
講状態を的確につかみ,講義進行を円滑化させるために必要である.
従来の遠隔講義システムにおいて講義者は,遠隔のカメラや映像スイッチャな
どを操作して受講者を撮影している映像の取得方法を変化させ,受講者の微妙な
表情や態度の変化などの聴講中の反応を取得することができる.しかし,リ
アルタイムで進行する講義の中では負担となるためにこれらの機器操作はほとん
ど行われていない.
また,これらの反応は,時空間的に分散して発生し,それぞれの反応について講義者が注目
することは講義の進行上不可能である.
そこで本研究では,受講室中に配置されている複数のカメラを制御しながら受講
者の反応の検出をするエージェント・検出した反応を集約するエージェント,及び
その集約状況にふさわしい映像を決定するエージェントからなる
遠隔講義システムを提案し,遠隔受講者の聴講状態を表すような映像
を講義者に提示することで問題の解決を目指す.
ただ,講義中の受講者の反応には多種多様なものがあり,受講者を撮影するカメ
ラの数が人数に対して少ない遠隔講義の環境において,全ての反応を考慮するこ
とは難しい.そこで,従来の遠隔講義システムによって受講者の反応の分析を行
い'顔を上げた'・'顔を下げた'という2つの反応のみを考慮することとした.
この制限のもと,提案遠隔講義システムを設計・実装し,提案システムの利用実験
を行い,その結果システムの有効性が確かめられた.