三次元形状と表面スペクトル分布の同時計測システム

黒坂 信一 (9851033)


近年,電子博物館に代表されるように,歴史的文化財の情報,特に外観情報としての三次元形状と表面のRGB データをデジタルコンテンツとして保存していく試みが盛んに行われている. しかし,色情報であるRGB値は計測時の照明に依存するため,電子博物館のように物体本来の色を記録したい場合には,物体固有の情報である分光反射率を計測する必要がある.

本研究では物体の三次元形状と同時に表面のスペクトル分布を計測するシステムを提案する.モノクロCCDカメラにイメージ分光器を取りつけて計測することで,線状のエリアの各点のスペクトル分布が取得でき,また,同じ機器を用いて三次元画像計測を行うことでスペクトル分布と位置対応の合った三次元形状も同時に得ることができる. 本システムを用いて得られたスペクトル分布を,標準白色板を計測して得られたスペクトル分布で各波長毎に除算することで物体本来の分光反射率を得ることができ,さらに,物体の形状を踏まえながら任意の箇所で色の解析をすることが可能となる.