分身エージェントとの音声コミュニケーションを用いたコミュニティにおける知識創造支援
久保田 秀和 (9851031)
本稿は、コミュニティにおける知識創造支援を目的とした、
分身エージェントを介したコミュニティメンバー同士の
コミュニケーション手法について提案する。
分身エージェントとはコミュニティメンバーの代理となる
ソフトウェアエージェントであり、
メンバーは他のメンバーの分身エージェントたちと
音声対話を行うことによって、
相手の時間的都合に拘らず、その代理とコミュニケーションをとることができる。
分身エージェントは、
代理する各コミュニティメンバーの過去の発言を蓄積する。
分身エージェントは対話の際、
この過去の発言内容をそのまま自分の発言とすることによって、
代理するメンバーの本人らしさを表現する。
また、対話における分身エージェントの発言順序は、
対話がストーリー構造を持つように決定される。
ストーリー構造とは、発言者の本人らしさを反映した発言の流れであり、
対話を用いた知識創造において重要な要素である。
一つのメーリングリストにおける対話を解析した結果、
参加メンバーは自分と興味の似る特定のメンバーに対して
よく話す傾向のあることを確認した。
これに基いて、コミュニティ一般において、
メンバー間の対話における発言の偏りが
メンバーの本人らしさを表わすと仮定する。
分身エージェントの発言は発言順序の制御により、
メンバー間の発言の偏りと等しい偏りを含むストーリー構造を持つ。
また、以上の手法を検証するためにEgoChatシステムを製作し、
その有効性について評価を行った。