音声認識を考慮した適応型マイクロホンアレーの設計法

岡田 有加 (9851018)


ヒューマノイドの聴覚システムなどでは、受音器から離れた位置から発せられる音 を高音質で受音することが望まれる。しかし実環境では、背景雑音や残響などに より目的音の音質が劣化するという問題が生じる。解決策の1つとして、複数のマイ クロホン素子によって構成されるマイクロホンアレーの利用が検討されている。

本研究では、使用目的を音声認識に限定することにより、マイクロホンアレーの性 能改善を検討する。音声認識に適応させるため、音声の周波数特性に応じた雑音抑 圧を行なうフィルタの設計を検討した。信号処理には、適応型マイクロホンアレー の1つであるAMNOR(Adaptive Microphone-array for NOise Reduction)を用い た。AMNORでは、疑似目的信号と背景雑音を用いて雑音抑圧フィルタを作成する。 疑似目的信号には従来白色雑音が用いられているが、音声のスペクトルを元に作 成した信号を用いることにより、音声認識を考慮したアレー信号処理を提案した。 実環境で収録したデータを用いて音声認識実験を行なった結果、提案法では従来 法に比べ高い認識率を得ることができた。さらに、適応形マイクロホンアレーの課 題である計算量削減の可能性が示された。