可変なカテゴリ構造を用いた文書検索支援手法の実験的評価

岩崎 正秀 (9851012)


WWWで提供される情報が加速度的に増加するのに伴い,より多くのユーザがWWW検索サービスを必要とするようになりつつある.そのため,必要な情報を探し出すために専門的な知識や技術を必要としないような,使いやすい検索方法の実現が重要となっている.現在のWWW検索サービスには,キーワード検索型とディレクトリサービス型の2種類がある.しかし,いずれのサービスを用いても,一般的ユーザにとって目的の情報を得るのが困難なことがしばしばある.

そこで著者らの研究グループは,分類観点という予備知識を用いて,検索のたびにそのときのユーザの意図に近いカテゴリ階層構造を提供する手法を提案している.この手法では,以下のような性質を満たす適応的なカテゴリ構造の提供を目標としている.

本研究では,この手法を実装した試作システムを用いて,検索の精度を評価尺度とした提案手法の評価実験を行った.実験の結果,提案手法は,キーワード検索やクラスタリングを用いる従来の手法よりも精度の良い検索結果が得られることを示せた.また,ユーザの問い合わせに対する各分類観点の適切さの尺度として分類の明確さとエントロピーの2種類を定義し,実験においてそれらの比較も行った.その結果,検索精度についてはエントロピーの方が若干優れているが,目標とする検索精度を得るためにユーザが選択すべきカテゴリ数などについては分類の明確さの方が優れていることが分かった.