地理的位置情報システムにおけるプライバシ管理方法

和泉 順子(9851007)


近年、インターネットと携帯端末の急速な普及によりモバイル・コンピューティ ングという計算機の利用方法が注目され、様々な研究機関において、移動 する計算機から得られる情報を有効に用いた位置情報サービスが開発されている。

WIDEプロジェクトrover WGでは、ネットワーク上に存在するentityの論理的な位 置と、その地理的な位置情報を対応づける機能をもつGLI(Geographical Location Informasion)システムを提案し、研究を進めている。 現在このGLIシステムは、InternetCARプロジェクトの実験において、車の位置 情報を管理するために用いられている。しかし、この実験で、GLIシステムに プライバシ管理機構が実現されていないことが重大な問題として明らかになった。

本研究では、この問題を解決するため、移動計算機またはインターネットに 接続された非計算機の地理的な位置情報を、正当な権利を持つユーザに対して のみ公開するシステムの構築を目指している。 発表では、位置情報サービスに関する研究の現状と、それに必要と考えられる情報 セキュリティ分野での研究を簡潔に報告する。その後GLIシステムにおける プライバシ制御方法としてpseudo IDの導入や暗号技術による情報の保護を 検討し、プライバシ管理機能を付加したGLIシステムのアーキテクチャモデルを 説明する。

最後に今後の研究で解決すべき課題を挙げ、現実的に運用可能な地理的位置情報 管理システムを構築することを目指している。