出土状況モデルに基づいた
考古学データベースの構築

三宮 健 (9751052)


パーソナル・コンピュータやインターネット利用が盛んになるにつれて,日本 の考古学でも計算機利用が盛んになっている.例えば,発掘調査中に行われる 測量を支援するシステムや,遺物を計測し実測図の作成を行なう機器,あるい は考古学研究のための統計処理やシミュレーションへの利用,CGを用いた遺跡 の景観復元など,その利用は多岐にわたる.

しかし現在,考古学関係のデータベースで本格的に稼働しているものは少ない. しかも殆どのデータベースは,格納するデータを特定の対象に限定している. 本来これらのデータベースは統合あるいは連携したものでなければならない.

本論文では,発掘調査の段階において記録される出土状況に関するデータを基 に,これらのデータの構造をモデル化し,これを「出土状況モデル」として提 案した.またこのモデルに基づいてデータベースプロトタイプの実装を行い, 遺物から遺跡までの考古学データ全般を,一つのシステム内で扱うことが可能 であることを確認した.