再帰的最尤復号器における尤度の計算精度と回路規模の評価
深津 始 (9851092)
ビタビ復号法よりも効率的な最尤復号法として再帰的最尤復号(RMLD)が提
案されている.RMLDでは,トレリス線図の特徴を有効に利用することで効率
的に復号を行う.とくにリード・マラー(RM)符号とその部分符号では,同一
の計算機構を繰り返し利用することで復号ができるため,回路実現上有利で
ある.このような背景のもと,(64,42)RM符号の(64,35)部分符号のRMLD復号
器を1チップ VLSI回路で実現することが研究されている.筆者らの研究グル
ープでは,尤度の計算精度を制御することで復号器の能力を悪化させずに計
算複雑さを減少させる手法について研究しているが,計算複雑さの減少がそ
のまま回路面積の削減につながるかどうかは明らかでなかった.本研究では
何通りかの尤度の計算方法に基づいて復号回路を実際に設計し,回路面積の
比較を行った.その結果,再帰の底部におけるメトリックを表現するビット
幅など計算複雑度以外の要素が回
路面積に大きく影響すること,従来設計されていた復号器よりも復号能力が
高く,回路面積を小さくするような尤度の計算方法が存在することが明らか
となった.