デジタル形状計測に基づく銅鏡の形式分類に関する研究

御崎 充(9751102)


日本の古代については不明な点が多く,日本国内で著述された古事記・日本書 紀では神代と記述されている.このため,この時代の研究には中国の史書が頼 りとなる.中国の史書に記述される中国と日本とのやりとりに銅鏡が現れる. 中国は日本の朝貢に対して,銅鏡を答礼として贈る為,日本国内の古墳から出 土する銅鏡は舶載鏡(中国でつくられ日本で出土する),国産鏡の種類があると 考えられている.中でも数ある銅鏡の種類の内,三角縁神獣鏡は全国で約400 枚出土し注目されている.これらの銅鏡の分析・分類は,しばしば「謎の世紀」 と呼ばれる日本の古代の状況を解明する為の指針とされる.これらの分類は従 来目視によって定性的に行われており,定量的な裏付けはなされていなかった.
また,これらの銅鏡を含む考古遺物は,長い年月を土砂に埋もれていた為に生じた破損・傷みがある.これらの遺物の保存の為に,実物の保存処理,形状の保存のための図・文書の記述に多大な労力を要する.
本論文では,デジタル計測による銅鏡の形状保存と,銅鏡の自動分類を目指した情報考古学の研究について記述する.