陰関数表現を用いた没入型曲面形状モデラ
松宮 雅俊 (9751100)
3次元曲面形状のモデリングに一般に用いられている従来の3次元CADや3次元CG
ソフトウェアには,操作性や直感性,形状の視認に問題がある.本研究では,
このような問題の改善を目的として,仮想環境内で対話的かつ直感的な3次元
曲面形状のモデリングが可能なモデラを実現するための手法を提案する.提案
手法を用いた試作モデラでは,陰関数表現を用いることにより,滑らかな曲面
形状を手や指を用いて直接的に操作し,切削や付加といった形状の変形を実現
している.本研究で採用した陰関数表現には,形状の変形の際に形状の衝突判
定や変形処理に複雑な演算を必要とせずに,その定義から自然に変形を表現す
ることが可能であるという利点がある.一方で,没入型モデラでは,3次元形
状の変形やユーザの視点移動による画像を実時間で提示する必要があるが,陰
関数表現による形状の描画に一般的に用いられるレイトレーシング法は,実時
間提示には不向きである.そこで本研究では,陰関数表現を効率良くポリゴン
に変換する手法を提案し,高速なレンダリングを実現する.そして,試作モデ
ラによって,複雑で滑らかな曲面を持った形状を,手を用いた直感的な操作に
よって短時間でモデリングできることを,実際のモデリング結果によって示す.