ダクトのANCにおける多チャンネル化の効果に関する実験的検討 (低コストANCシステムの開発)

前田竜作 (9751096)


ダクトを伝搬する騒音に対処するために、 アクティブノイズコントロール(以下ANCと略す)の技術が使われている。 キルヒホッフ-ヘルムホルツ方程式に基づく境界音場制御 を応用したマルチチャンネルANCを用いる事により、 比較的高い周波数においてもANCの効果を得ることができる。

しかし、マルチチャンネルANCはシングルチャンネルのANCと 比較すると、システムの開発ならびに実現は非常に困難であった。 本研究では、シングルチャンネルANCシステムを組み合わせることにより マルチチャンネルANCシステムを実現することができる いう理論を元に、ANCシステムを開発した。 従来のANCシステムは浮動小数点DSPを使用していたため、 コストの面で問題があった。そこで今回固定小数点DSPを用いて ANCシステムを開発した。その結果、従来の1/10の材料費で 従来のシステムと性能的にほとんど変わらないシステムを 作成する事に成功した。

また作成したANCシステムを用いてダクトを用いた実環境実験を行った。 その結果、実環境においてもマルチチャンネルANCの制御の効果があることが わかり、マルチチャンネルANCの有効性が証明された。