マイクロホンアレーを用いた白色相互相関に基づく複数音源位置推定に関する研究
西浦 敬信 (9751080)
テレビ会議システムや音声入力による機器の制御において、話者から離れた位置にあるマイクロホンで音声を受音する場合、室内反響や背景雑音の影響により音声が歪み、音質が低下するという問題がある。これまでに、話者から離れた位置にあるマイクロホンで高品質に音声を受音する方法として複数のマイクロホン素子を利用するマイクロホンアレーの利用が検討されている。しかし、マイクロホンアレーを用いて高品質に音声を受音するためには、話者の位置情報が必要となるため、あらかじめ話者の位置を推定することが必要である。テレビ会議システムなどでは、室内に複数の話者が存在し、同時に発話する状況が考えられるので、複数の話者の位置を正確に推定することが非常に重要である。これまでに、白色相互相関に基づく音源位置推定法が提案されている。しかし、この方法で複数音源の位置推定を行う場合、白色相互相関によるクロス項の影響により位置推定精度が劣化するという問題があった。
この問題に対処するために、複数の白色相互相関係数を加算してクロス項の影響を抑える方法とビームフォーミングを用いた音源位置推定法を提案する。提案法を評価するために、音響実験室において収録したマイクロホンアレーの信号を用いて位置推定の実験を行った。その結果、3つの音源位置を推定する場合の位置推定率は、従来法が約60%であったのが提案法では約80%となり約20%の改善を得た。