Layer 3 スイッチの性能評価に関する研究

中澤 省吾 (9751073)


近年のインターネットの急速な発展により、実時間通信等の大容量で高速な マルチメディア通信の要求が高まっている。従来のルータは、データグラムの ルーティングをソフトウェア処理で行なっているため、高速転送のボトルネッ クとなっている。その問題を解決する方法として、Layer 3 スイッチングと呼 ばれる、ATM等のLayer 2のスイッチング機能を利用したIP転送方式が提案され、 注目を集めている。この方式では、あるIPフローにおいて、最初に到着したデー タグラムのみソフトウェア処理によりルーティングされ、同時にLayer 2にお いて経路を固定することで、以降のデータグラムはLayer 3のルーティング処 理を経ることなく、Layer 2にて高速転送される。これをカットスルー技術と いう。Layer 3 スイッチには、Layer 2におけるカットスルーパスの設定方式 の違いから、フロー駆動型とトポロジー駆動型の2種類が存在する。

本研究では、IPフローと各フローを構成するデータグラムの発生モデルを2 状態のIBP(Interrupted Bernoulli Process)でモデル化し、フロー駆動型とト ポロジー駆動型のLayer 3 スイッチを待ち行列理論を用いて解析的に性能指標 を導出することにより、各トラヒックパラメータによる影響を定量的に示し、 その特性を比較、検証する。