バグの発生を予測することを目的とした\\ソフトウェア評価尺度の選択

杉村 貴士 (9751056)


大規模なソフトウェアを長年にわたって運用, 修正, 拡張するという保守に掛かるコストは 全ソフトウェア開発コストに対して多くの割合を占める. その保守のうち, バグ修正作業に関してはリリース前の十分なテストによって 軽減することができる. しかし, 納期などの制約により十分なテストの実施が困難な場合, いくつかのバグが残ったままのリリースとなる. そこで本発表では, バグの発生するプログラムを予測するための尺度の選択方法を提案する. バグの発生するプログラムを予測することができれば 制約された条件下でテストを効率的に行うことでリリース後のバグ発生を防ぎ, 保守のバグ修正作業を軽減することができる. そのために実際にメインフレーム上で稼働する大規模業務アプリケーションソフトウェアを 53種のソフトウェア評価尺度で計測し, その中のどの尺度の組合せがバグの発生を説明するのに重要であるかを 判別分析法と分類木の手法によって選択する方法を明らかにした. 結果として, 一般にバグの発生の原因とされてきたことがここでも数値として現れ, バグをより完全に除去するには分類木の手法, 限られた時間内で効率よくバグを除去するには判別分析の方法が有効であると確認できた.