分析フレーム間に渡る残響の影響を考慮した音声認識の検討
杉村 耕司 (9751055)
近年、ハンズフリーインターフェースとしての音声が注目を集めて
いる。しかし、実環境において音声認識を実現するためには、背景雑音や、
部屋の壁や床の反射に起因する残響の影響に対処することが必要不可欠とな
る。この内、残響要因特性を表すインパルス応答との畳み込みで表される残
響の影響に対処する方法として、CMN ( Cepstrum Mean Normalization )や
モデル適応化法といった方法が提案されている。しかし実環境においては残
響要因特性を表すインパルス応答の応答長が長くなり、これらの方法では十
分な性能が得られないという問題点があった。
この問題に対処することを目的に、短時間フレーム分析の分析フレーム長をこ
える応答長を持つ残響の影響に対処することを目的にスペクトル領域において
FIRフィルタを設計し、残響要因を補正する方法について検討を行なった。観
測信号と対応するクリーン音声を適応データに用いた特定話者認識実験では提
案方法により 83.8\% から 88.6\% まで認識率の改善を得た。