全方位画像のKL展開を用いた動的環境におけるロボットの誘導
柴田 篤志 (9751053)
視覚情報から自己位置を認識し、自律移動するロボットの研究は数
多くなされているが、複雑な実環境下においてこの目標を達成でき
ているものは数少ない。この原因の1つは複雑な環境下ではランドマークを安定
して抽出することが困難なためである。
ランドマークの抽出が困難な環境における誘導として、画像全体を直接的に記
憶することによりロボットを誘導する手法が有効である. そのような手法では、
膨大な画像情報を効率良く記憶・照合する工夫が必要である。従来KL展開を用
いて画像を圧縮し、固有空間上で画像の照合を行うことで自己位置を認識し移
動する手法が提案されていたが、動的環境下では画像の見え方が記憶したものと
異なるために、そのままでは自己位置を求めることができない。
本研究では, 全方位画像を分割しそれぞれの分割画像の固有空間上の距離を統
合し自己の位置を求めることにより動的環境下での誘導を実現する。本手法に
より、人間が存在する環境や記憶時と照明条件が異なる環境においても十分な
精度で、誘導が可能なことを確認した。