MR拡散テンソル画像を用いた神経束の抽出

佐藤 哲大 (9751050)


MRI(Magnetic Resonance Imaging)の発展にともない,水分子の拡散運動を計測し画像化できるようになった.この画像計測は非侵襲であることから,in vivoでの脳の解剖学的な構造を明らかにでき,現在行われている脳機能の研究に有用だと考えられる.

水分子の拡散運動の画像化は,分子の動きに対するMR信号の変化を捉えたもので,この変化は分子の拡散の程度,磁場勾配の向き,強さと印加時間に関係する.この変化を捉えた拡散強調画像を複数枚用い,拡散テンソル画像を算出することができる.

また,脳内白質での拡散は不等方性を示すことから,得られる拡散テンソル画像は神経繊維と磁場勾配の相対的な方向をあらわすものとなり,これより神経繊維束を導き出すことが可能である.

このことから本研究では,拡散テンソル画像に含まれる複数のテンソル情報を組み合わせた脳内白質神経繊維束の抽出手法を提案し,実データに適用することでその有用性を確認した.