双腕ロボットアームの適応追従制御

菊地 俊 (9751039)


対象物体を2台の双腕ロボットアームを用いて操るときに, 手先と対象物体の位置関係が変化しないという拘束条件が制御系に加わっていることになる. 対象物体を軌道制御するためには各アームから対象物体に加えられる力を制御する必要がある. この力の成分のうちで運動には寄与しない力(内力)によって物体の把持が実現されるので, 安定した把持を実現するにはこの内力を制御する必要がある.

本研究では, 双腕ロボットによって把持される対象物体の質量中心の位置・姿勢と物体の把持のために使われる内力を同時に制御することを目的し, Isidori & Sastry の非線形制御理論を拡張し協調制御系に対する適応追従制御設計法を提案する. 制御量の一つである内力は出力に直逹項を持つ. Isidori & Sastry の適応制御理論では, 直逹項を持つときに対しては述べられていない. そこで出力に直逹項をもつシステムであっても同様に追従誤差が 0 となることを示し, 内力の制御に用いる. パラメータ推定値を用いて制御するのでシステムに不確定成分が含まれていても, 適応機構を用いて制御目的を実現することが可能となる. 本研究では対象物体の質量が未知であるとし, 提案した手法により制御系を設計する. さらに, 数値シミュレーションを用いて, 提案した手法の有効性を示す.