マイクロX線CT画像の多重解像度解析を用いた骨梁評価
岡本 卓也 (9751024)
寝たきりになる老人の原因疾病として,骨粗鬆症に起因する骨折が
大きな割合を占めている.骨粗鬆症は老年層にとって深刻な疾患であり,
治癒するためには早期発見が必要である.
現在,この骨粗鬆症は骨密度を
基準に診断がなされているが,骨密度は必ずしも骨の強度を反映している
指標ではなく,骨粗鬆症の診断の上で,骨の強度を基準とした骨質評価が
重要視されている.本研究では,骨強度と相関の高い指標を得るために
%骨梁構造が高い分解能で測定できる
マイクロX線CT画像に対して,ウェーブレットパケット分解を用いた
多重解像度解析を行い,骨梁構造を解析し,
その解析結果である木構造の形状のモーメントを
求めることで評価指標を提案した.
評価実験として,CT画像の骨を圧縮破壊試験で測定した4つの強度指標と
提案した指標との相関を調べた.また,
4つの物理的な強度指標から,
主成分分析により4つの指標の分布を反映した指標を導き,その指標を
骨折に関与する強度を想定した骨強度を求め,提案した指標との相関を調べた.
その結果より,提案した指標が骨密度以上に強度指標および骨強度と
高い相関を示し,有効であることがわかった.
本研究で提案した指標が,臨床利用され,診断が容易かつ正確にできれば,
老年層の骨粗鬆症予防に大きく貢献すると考えられる.
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骨粗鬆症,骨梁構造,骨強度,木構造モーメント,
多重解像度解析