多重極展開を用いた急峻な距離減衰特性を持つマイクロホンシステムの提案
榎本 成悟 (9751017)
マイクロホンに急峻な距離減衰特性を持たせることにより、マイクロホン近く
の音は収音し、遠くから到来する騒音は減衰させることができる。従来、この
ような急峻な距離減衰特性を持つマイクロホンシステムを設計する方法として、
Kirchhoff-Helmholtz積分方程式に基づく方法やKirchhoff-Helmholtz積分方程
式と逆システム論を組み合わせた方法が提案されている。しかし、これらの方
法ではマイクロホンの3次元配置が困難であることや、非常に多くのマイクロ
ホンが必要となることなどの問題点がある。
本論文ではこのような特性を持つマイクロホンシステムを空間上に比較的容易
に設置することが可能であり、かつ少ないマイクロホンを用いることで設計す
る方法の一つとして、音源の多重極展開法に基づく設計法を提案し、数値計算
によりその実現の可能性と効果を示した。
シミュレーションの結果、提案するシステムを用いることにより急峻な距離減
衰特性を実現できることができることが確認された。