協調翻訳作業のための情報システムの設計と実装

伊藤 実夏 (9751012)


WWW の普及により, インターネットは爆発的にその規模を 拡大している. WWW は情報を取得, 発信するのに 容易なインタフェースを備えているため, これまでの 放送, 出版とは異なる形態で, 個人, 組織による情報配信を可能にした.

WWW では情報の受信, 発信が容易にできるため, 一度公開した情報の変更や削除も容易に行なうことができ, これまでの情報システムでは問題にならなかった時間の経過に 伴う削除や変更が問題となる. しかし, リンクとオブジェクトでのみで構成されている 現在の WWW では, リンクやオブジェクトの変更や削除といった 時間の経過に伴う変化を扱うことができない.

また, WWW では情報の公開, 変更が容易であるという特徴を 生かした複数の人間による協調作業の支援システムがあるが, この ようなシステムは一度行なった変更を元に戻す機能が望まれるため, 作業過程を再現できる機能が必要となる. しかしながら, 現在の WWW は このような機能は備えていない.

そこで, WWW に機能を追加することによって, WWW だけでは扱うことのできなかったオブジェクトの変化をトラック できるシステムを構築することを目的とし, プロトタイプシステムの 行なった設計と実装について発表する. 英語の WWW ドキュメントを日本語に翻訳し, その翻訳結果に複数の人が 修整を重ねる. この翻訳結果の修整の繰り返しが変化する オブジェクトであり, 重ねた修整をトラックするものである. これにより, 協調して行なう翻訳作業を支援する.