稼働中のソフトウェアからバグの症状が発見され,そのバグが原因となって生じる損害が大きい場合には,多くの人員を投入してでも,そのバグを除去するための時間を短縮したい場合がある.
デバッグ作業に多くの人員を投入する際には,具体的な方法,及び,その効果と問題点についてあらかじめ十分に検討しておく必要がある. 一般に,複数人で手分けして作業を行う場合,個々の作業者の作業が減り,一人で作業するよりも,作業時間が短縮されることが期待されるが,デバッグにおいては,多くの人員を投入したからといって,作業時間が短縮されるとは限らない.
本研究の目的は,複数の人員を投入してデバッグするときの個々の作業者が担当する作業内容の分割と作業者間の知識交換の方法の効果的な方法を明らかにすることである. 本発表では,その足がかりとして,二人の作業者が協同してデバッグする際の作業の分割の方法,及び,知識交換の方法を実験を通して考察する.
実験により,個々の作業者が担当する作業を作業前に明確に決めておき,お互いの作業を中断することなく限られた情報のみを伝達することが有効であることがわかった.