自己組織化によるテンポラルコード

雨森 賢一(9751005)


聴覚や大脳皮質のにおけるニューロンは、その発火のタイミングに基づいた実時間の精緻で速い情報処理を行っているのではないかと考えられている。特に、大脳皮質では、そのスパイク列はポアソン過程に近いことが知られている。そのような乱雑な系において、ニューロンあるいはその集団は、どのようにして相関のある入力を取り出しているのだろうか。本論では、上記の疑問の解答の足掛かりとなり得る結果を幾つか紹介する。まず、ニューラルネットワークの可塑性の根拠となる原則の一つにヘブ型の学習則がある。ここではその学習則を用いて、単一ニューロンが乱雑な系において相関のある入力を取り出す能力があることを示す。さらに、それをネットワークに発展させることで自己組織的に精緻な時系列の学習と、その想起が可能になることを示す。その想起の性質は、入力時系列と似た時系列を加えたときに良く応答し、また任意の入力に対する応答時系列は入力時系列を加えたときの応答時系列に、常にほぼ等しい。すなわち、学習後のネットワークは「連想記憶」の能力があると言える。