テレロボティクス技術に関する調査研究

山本 長敏 (9651118)


テレロボティクスという言葉が使われだしたのは,1980年代半ば頃である.テレロボ ティクスは,従来のマニュアル・マニピュレータを用いたテレオペレーション(遠隔 操作)にロボティクスの技術を取り入れた体系を意味する.

一方,近年注目を集めるバーチャルリアリティ分野や,急速に発達しているネットワーク 技術はテレロボティクスに大きな影響を与えている.操作者がより高い臨場感を持って,インタラクションが行えるよう力覚フィードバックなどにVR技術が用いられる. また,ネットワーク技術の発達によって,超遠隔での操作や,これまで一部の専門家し か使うことのできなかったロボットを誰もが簡単に使えるようになるなど,ロボットの 活躍する場がより大きくなるという可能性を持っている.

このようなテレロボティクス技術は,いろいろな分野で応用が期待されている.原子力 発電所内/宇宙のように人が近づき難い環境や,月/惑星などのように距離が遠く離れた 環境,超巨大/極微小などスケール的に人と整合しない環境,整備されていない環境で作 業を実施するロボットなどのような極限環境における利用のための研究・開発が行われ ている .その適用分野はこれらに留まらず,医療・福祉,教育,エンターテイメントな ど新たな分野も模索されている.

本稿では,テレロボティクス技術の研究動向について報告を行う.